良寛和尚の詩

毎日うだるような暑さから、朝晩と涼しく過ごしやすい日がやっと来たと思うこの頃です。少しずつ秋に移り変わる気候を感じ、物思いにふけるには絶好の季節ともいえるでしょう。今日は江戸時代にご活躍された良寛和尚の詩を紹介したいと思います。良寛和尚がお亡くなりになられるときに、形見をせがむ村の人々に、分け与える物がない程の質素な暮らしをされていた良寛和尚は、次のような詩を残されたと言われています。

『形見とて 何か残さん 春は花 夏ほととぎす 秋はもみじ葉』

形見として残す物はないが、見るもの、聞くものを姿・形と受け取るならば、それが教え・こころ・命そのものであると。形あるものはいずれ消失していくものですが、その方の“いのち”は決してなくなるものではありません。良寛和尚も江戸時代の方ですが、現代でも語り継がれてるのですから。

これからの季節、山野の皆様には稲刈りや収穫と農業に携わる方々がたくさんいらっしゃいます。自然を感じ向き合う時に、良寛和尚の詩を思い出し、在りし日の故人様を思い出してください。きっと気持ちの良い風が吹き、美しい声で鳥たちが鳴き、その心に応えていただけると思います。

合掌